「小説 秒速5センチメートル」 新海誠著 角川文庫 の紹介|大阪の古書買取り・古本買取りなら『森川古書店』

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「小説 秒速5センチメートル」 新海誠著 角川文庫 の紹介

  • 「小説 秒速5センチメートル」 新海誠著 角川文庫 の紹介

2020/08/31

今回は、「小説 秒速5センチメートル」 新海誠著 角川文庫
をご紹介。※アニメは未見で書いてます。
 
一人の少年「貴樹」を中心に描かれる、3作の連絡短編。
第一話:「桜花抄」
小学生の「貴樹」と「明里」の出会いと別れ。冒頭の桜吹雪のシーンと
最後の雪景色が、きれいに対比されていて、出会いのはかなさと、
別れの切なさを際立たせているように感じます。
第二話:「コスモノーツ」
転校先の種子島で出会った「花苗」目線で描かれる第二話。
なにげない日常の中で、高まっていく花苗の「貴樹」への思い。思い切った告白を言う前に拒絶された悲しみ。
同じロケットの打ち上げを見ていながら同じものが見れていないと分かったときの切なさ。
それでもあきらめきれない「花苗」の気持ちが悲しいです。
第三話:「秒速5センチメートル」
大学そして就職した「貴樹」の恋愛と新しい歩みを始めるまで。
 
第一話は、桜で始まり、雪で終わる。
第二話は、朝日で始まり夕陽で終わる。
最後、第三話は、雪で始まって、桜で終わる。
電車の窓から見える田園風景。ストーブの柔らかな明かり。
種子島の輝くような朝日。夕陽の中立ち上っていくロケットの軌跡。
都会の雪。そびえたつビルディング。踏切の桜吹雪。など
美しい景色描写のなか、「貴樹」「明里」「花苗」の切ない心情が描かれています。
最後、前に踏み出す決心をした「貴樹」。彼はなにかに囚われていたのか。
第二話までは、「明里」への気持ちが失われていなかったと思われるのですが、
第三話で「貴樹」は新しい環境で、新しい生活を始めている。
以前の力のなかった自分を忘れているかのように。
 
仕事に追われるうちに、自分のやるべきことはこれだったのかと
自問自答することはよくあるだろうし、仕事に忙殺されるうちに恋人との
関係も疎遠になっていくこともよくあることです。
それが、貴樹の場合、明里との叶わなかった初恋のせいなのかと言うと
そうではないと思うし、会社をやめるきっかけになったわけでもないと思います。
ただ、ふとしたきっかけで、自分が歩んできた過去・別れを思い出し、
もっと、何かできたのではないかという気持ちに囚われる。
貴樹はだれかに「あなたは大丈夫」と言ってもらいたかったのか・・
言ってもらいたかったとは思うが、言われなくても貴樹は新しい気持ちで歩き出すことを決めることができた。
それが、最後の本当の奇跡だったのだと思います。
 
「君の名は。」を見たときの感覚で読み始めたのですが、
読後感としては全く異なる感想になりました。
このお話は、読んだ人それぞれで異なる感想を持つのではないでしょうか。
ページ数の少ない本だったので、気軽に読み始めましたが
なかなか、想像力のいるお話でした。

 

 
 

 

 

 

 

 

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