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図書館司書の資格取得ガイド|社会人・大学生向け4つの方法、費用、就職の現実まで徹底解説
2025/07/27
静かな空間で、たくさんの本に囲まれて働く——。 「本が好き」な人にとって、「図書館司書」は一度は憧れる職業ではないでしょうか。ただ本を貸し出すだけでなく、人々の「知りたい」という気持ちに寄り添い、膨大な情報の中から最適な一冊を案内する「情報のナビゲーター」でもあります。
しかし、その憧れの職業に就くためには、専門の「資格」が必要だということをご存知でしたか?
「どうすれば司書になれるの?」 「社会人になってからでも資格は取れる?」 「費用はどれくらいかかるんだろう…」 「資格を取っても、本当に就職できるの?」
この記事では、そんなあなたのあらゆる疑問に答えます。 大学生向け、社会人向けなど、それぞれの状況に合わせた具体的な資格取得方法から、かかる費用や期間、そして気になる就職のリアルな情報まで、図書館司書を目指すために知っておくべき全てを、網羅的に解説していきます。
あなたの「本が好き」という気持ちを、専門的なキャリアに変えるための第一歩を、ここから踏み出してみましょう。
【基本のキ】司書の仕事は貸出だけじゃない!その多岐にわたる業務内容
多くの人がイメージする司書の仕事は、カウンターでの本の貸出・返却業務かもしれません。もちろんそれも大切な仕事ですが、実際には非常に多岐にわたる専門的な業務を担っています。
カウンター業務(貸出・返却、利用者登録)
利用者と直接関わる、図書館の「顔」ともいえる仕事です。本の貸出・返却手続きのほか、初めて利用する人のための利用カード作成、予約本の管理などを行います。丁寧な対応と笑顔が求められます。
裏方業務(選書、発注、装備、配架)
図書館の質を左右する重要な仕事です。
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選書・発注: 地域住民のニーズや世の中の動向、予算などを考慮し、新しく購入する本や雑誌を選定し、発注します。
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装備: 納品された本に、バーコードや分類ラベルを貼り、盗難防止の磁気テープを入れるなど、貸出可能な状態にする作業です。地道ですが、正確性が求められます。
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配架: 返却された本を、正しい分類番号に基づいて書棚に戻す作業です。利用者が本を見つけやすくするための、図書館の基本となる仕事です。
専門性が光る「レファレンスサービス」とは?
これぞ司書の専門性が最も発揮される仕事です。利用者からの「○○について調べたい」「こんな内容の本はないか?」といった具体的な質問や相談に対し、様々な資料やデータベースを駆使して回答や情報提供を行います。調べ物の手伝いを通じて、利用者の知的好奇心に応える、まさに「情報のナビゲーター」です。
地域と繋がるイベントの企画・運営
子ども向けの読み聞かせ会やおはなし会、大人向けの講演会や読書会、特定のテーマに沿った本の展示など、利用者が図書館に親しみを持ち、足を運ぶきっかけとなるイベントを企画・運営します。企画力や実行力も問われるクリエイティブな仕事です。
司書のやりがいと大変なこと
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やりがい: 自分の選んだ本が多くの人に読まれたり、「ありがとう、探していた情報が見つかったよ」と感謝されたりした時に、大きなやりがいを感じられます。人々の知的好奇心や学びを直接サポートできる魅力的な仕事です。
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大変なこと: 一日中立ち仕事や重い本を運ぶことも多く、体力的にハードな面もあります。また、正規職員の求人が少なく雇用が不安定なケースが多いことや、クレーム対応なども現実として存在します。
司書の資格とは?「司書」「司書補」「司書教諭」の違いを整理
図書館で働く専門職員に関連する資格には、主に3つの種類があります。それぞれの役割と資格の違いをしっかり理解しておきましょう。
国家資格としての「司書」
図書館法に定められた、公共図書館などに置かれる専門的職員の国家資格です。大学などで専門の科目を履修することで取得できます。この記事でメインに解説するのが、この「司書」資格です。
司書をサポートする「司書補」
司書の職務を補助する役割を担います。司書補になるための資格は、高校卒業などを条件に、司書補講習を修了することで取得できます。また、司書補として3年以上の実務経験を積むと、後述する司書講習の受講資格が得られ、司書を目指す道も開かれています。
学校図書館で働く専門職「司書教諭」
小・中・高校などの学校図書館(図書室)で働くための資格です。学校図書館法に基づき、児童・生徒の読書活動や学習活動をサポートします。この資格は、教員免許状を持っている(または取得見込みの)人が、大学で所定の科目を履修することで取得できます。司書資格だけでは司書教諭にはなれない、という点が大きな違いです。
【あなたに合うのは?】図書館司書の資格を取得する4つのルート
それでは、本題である「司書」資格の取得方法を見ていきましょう。あなたの最終学歴や現在の状況によって、選ぶべきルートが変わってきます。
ルート1:大学・短大で単位を修得する【大学生向け】
最もオーソドックスな方法です。司書課程のある大学・短大に入学し、卒業に必要な単位と並行して、司書資格に必要な科目を履修します。
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対象者: これから大学・短大に進学する高校生、在学中の大学生
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メリット: 卒業と同時に資格を取得できる。他の学生と一緒に学べる。学割などが使える。
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デメリット: 司書課程のある大学に進学する必要がある。卒業単位に加えて司書科目を履修するため、負担は増える。
すでに大学に在学中の場合は、自分の大学に司書課程があるか確認してみましょう。もしあれば、今からでも履修を開始できる可能性があります。
ルート2:大学の通信教育で単位を修得する【社会人・主婦に最適】
働きながら資格取得を目指す社会人や、家事・育児で忙しい主婦の方に最も人気があり、現実的な方法です。
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対象者: 大学を卒業している社会人、主婦、時間に制約のある方
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メリット: 自分のペースで学習を進められる。全国どこに住んでいても学べる。通学制より費用が安い傾向にある。
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デメリット: 自己管理能力が求められる。モチベーションの維持が大変。一部、スクーリング(対面授業)が必要な大学もある。
多くの通信制大学では、すでに大学を卒業している人向けに、司書資格に必要な科目だけを履修できる「科目等履修生」の制度を設けています。
ルート3:短期集中の司書講習を受講する【大卒者向け】
大学が夏休み期間などを利用して実施する、短期集中型の講座です。約2~3ヶ月間、集中的に講義や演習を受けて資格を取得します。
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対象者: 大学・短大を卒業している人、または大学に2年以上在学し62単位以上を修得した人
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メリット: 短期間で集中的に学べるため、資格取得までのスピードが速い。
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デメリット: 講習期間中は毎日授業があり非常にハード。実施している大学が限られる。費用が比較的高め。
「来年の就職活動までに資格が欲しい」など、短期間での取得を目指す人に向いています。
ルート4:司書補としての実務経験から目指す【高卒者向け】
高校卒業者が司書を目指すためのルートです。
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まず司書補の資格を取得(司書補講習の受講など)し、図書館で司書補として採用される。
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司書補として3年以上の実務経験を積む。
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上記の「司書講習」を受講する。
このルートは、実務経験を積みながらステップアップできるのが特徴ですが、まず司書補としての就職先を見つける必要があるため、他のルートに比べて時間がかかる可能性があります。
気になる費用と期間を徹底比較!最短・最安で資格を取るには?
資格取得を目指す上で、費用と期間は非常に重要な要素です。各ルートの目安を比較してみましょう。
※費用はあくまで目安です。最新の情報は各大学・講習実施機関の公式サイトで必ず確認してください。
最短・最安を目指すなら?
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最短: 大卒者であれば「司書講習」が約2~3ヶ月で最も早いです。
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最安: 一概には言えませんが、スクーリングの少ない通信制大学を選ぶと、トータルの費用を抑えられる傾向にあります。
ご自身の状況(学歴、時間、予算)と照らし合わせ、最適なプランを立てることが重要です。
司書資格の難易度は?「試験なし」でも楽ではない理由
「司書資格に試験はない」と聞いて、簡単に取れる資格だと思っていませんか?それは半分正解で、半分間違いです。
司書は「無試験」で取得できる国家資格
確かに、司書資格には国家試験のような合格・不合格を決める一斉テストはありません。大学や講習で定められた科目をすべて履修し、単位を取得すれば資格が与えられる**「無試験資格」**です。
単位取得の難易度(レポート・課題の量)
しかし、「試験がない=楽」というわけでは決してありません。各科目で単位を修得するためには、膨大な量のレポート提出や課題をこなす必要があります。特に通信制大学では、テキストを読み込み、設問に対して数千字のレポートを作成する作業が学習の中心となります。テーマについて自ら資料を探し、論理的に文章を構成する能力が求められ、決して片手間でできるものではありません。
司書講習の過密スケジュール
短期集中の司書講習は、数ヶ月間に大学の1~2年分の講義を凝縮して行います。平日は朝から夕方まで講義が詰まっており、講義後や週末にはレポート課題に追われる、というハードな日々が続きます。体力と集中力、そして強い意志がなければ乗り切るのは難しいでしょう。
【最も知りたい】資格取得後のリアル。司書の就職活動と働き方
苦労して資格を取得した後の、就職の現実についても知っておきましょう。
正規職員は狭き門!公務員試験という壁
多くの人が憧れる、市立図書館などで働く「正規職員の司書」。これは地方公務員にあたるため、司書資格に加えて、各自治体が実施する公務員採用試験に合格する必要があります。 司書専門の採用枠は非常に少なく、欠員が出た場合に不定期で募集されることがほとんど。そのため、倍率は数十倍、時には100倍を超えることもある狭き門です。
求人の大半を占める会計年度任用職員(非正規)の実態
現在、図書館の求人で最も多いのが「会計年度任用職員」や「嘱託職員」といった非正規雇用のポジションです。1年ごとの契約更新が基本で、給与は時給制や月給制。正規職員に比べて待遇面では劣りますが、仕事内容は正規職員とほぼ変わらない専門的な業務を任されることも多いです。まずは非正規で実務経験を積み、正規職員の採用試験に挑戦するというキャリアパスも一般的です。
求人の探し方
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各自治体のウェブサイト: 正規職員、会計年度任用職員の募集はここが基本です。
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日本図書館協会のウェブサイト: 全国の図書館求人情報が集約されています。
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図書館専門の求人サイト: 「LIS-JOB」など、図書館業界に特化したサイトもあります。
活躍の場は公共図書館だけではない
司書の知識やスキルが活かせるのは、街の図書館だけではありません。
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大学図書館: より専門的な学術書の管理や、学生・研究者の学習支援を行います。
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学校図書館: 司書教諭として、児童・生徒の教育に直接関わります。
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専門図書館: 企業や研究所、官公庁などに設置され、特定の分野に特化した情報を扱います。国立国会図書館もその一つです。
視野を広げれば、活躍の場は意外と多く存在します。
Q&A|図書館司書の資格に関するよくある質問
Q1. 何歳からでも目指せますか? A1. はい、目指せます。 司書資格の取得に年齢制限はありません。社会人経験を積んでから、あるいは定年後にセカンドキャリアとして目指す方も多くいます。多様な人生経験は、レファレンスサービスなどにも活かすことができます。
Q2. 独学では取得できませんか? A2. 残念ながら、独学での取得はできません。 図書館法で定められた大学・短大・講習で、所定の科目を履修し単位を修得する必要があります。
Q3. 司書に向いているのはどんな人ですか? A3. 以下のような素養がある人に向いていると言えるでしょう。
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本や知識そのものが好き(大前提)
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人とコミュニケーションを取るのが好き
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知りたい、調べたいという探求心が強い
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分類や整理など、地道で細かい作業が苦にならない
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利用者の役に立ちたいという奉仕の精神がある
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新しい情報を常に学び続ける意欲がある
まとめ:司書資格は、あなたの知的好奇心を満たすキャリアの第一歩
図書館司書の資格取得への道筋は、決して楽なものではありません。しかし、その先には、本と人、情報と人を繋ぐ、非常に奥深くやりがいのある仕事が待っています。
この記事で紹介したように、資格取得のルートは一つではありません。大学生も、働き盛りの社会人も、子育て中の主婦も、それぞれのライフスタイルに合った方法で目指すことが可能です。
重要なのは、**司書資格はゴールではなく、専門職としてのキャリアを歩み始めるための「スタートライン」**だということです。資格取得後も、日々新しい知識を学び、スキルを磨き続ける姿勢が求められます。
もしあなたが、本を愛し、人の学びを手伝うことに喜びを感じるなら、図書館司書はあなたの人生を豊かにする素晴らしい選択肢となるはずです。まずは資料請求や説明会への参加など、具体的な一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。